【作成途中】1931年シュナイダートロフィーレースの英国高速機に関する技術報告集(Collected Reports in British High Speed Aircraft for the 1931 Schneider Trophy Contest) より、R.J.ミッチェル著「出場機体について」 非公式翻訳

出場機体について

R.J. Mitchell

Supermarine Aviation Works (Vickers), Ltd.

 

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  • 出場機体について

 

 

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Flight誌1932年4月1日号より Orlebar空軍中佐による高速飛行に関する発表(Wing Com. Orlebar on High-speed Flying)非公式翻訳

英国がシュナイダートロフィーレースに参戦するため、1926年に結成した高速飛行小隊(High Speed Flight)の元司令官であったA.H.Orlebar空軍中佐がシュナイダートロフィーレース機の飛行について説明したという記事です。既にこの年代でハイGターン時のパイロットへの影響などが知られていたりするなど、シュナイダートロフィーレースのパイロット目線の貴重な証言が紹介されています。(acha_pi)

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 A.H. Orlebar, A.F.C.空軍中佐は高速飛行に関する発表を3月23日にRoyal United Service Institutionの前で行った。発表には空将Edward Ellington卿, K.C.B., C.M.G., C.B.E.が議長として出席された。高速飛行隊の前司令官であったOrlebar氏が説明する内容の多くはFLIGHT(本誌)の読者にとって馴染み深いものであるが、同発表は聴衆の陸軍と海軍関係者に大きな印象を与え、彼らを非常に感心させた情報を多く与えたように思われる。

 Orlebar空軍中佐は冒頭で、このテーマ(高速飛行に関して)の扱い方には様々な方法があると説明した。ある者はエンジンの熱から何杯の紅茶がいれられるかについて述べるかもしれないし、ある者は高度に技術的な議論に持ち込むかもしれない。しかし同氏はこのどちらでもなく、より広い視点から見て、高速飛行の利用を議論することを提案した。

 英国空軍の高速飛行との関係は1927年シュナイダートロフィーレースの参戦を目的とした「高速飛行小隊(High Speed Flight)」が発足した1926年に遡る。操縦練習のため、それまでは民間人にのみ使用されており空軍には馴染みのなかったフロート付きのBamelやGloster Ⅲなど様々な機体が使用された。これらの最高速度は約240 m.p.h. であり、現代の空軍機よりも若干速い程度であった。空軍の量産機の最高速は150 m.p.h.を超えない程度であった。また、これらの旧式機体はGloster Ⅳ及びSupermarine S.5などの1927年大会に向けて開発された新型機に比べて構造的にも空力特性的にも劣っていた。レース機体は大会の直前に飛行隊に渡され、大会直後に飛行隊は解散された。1929年の高速飛行隊は前回大会の機体を練習機として使用できた点でより恵まれており、(前回大会出場機は)実に良い練習機にできるとわかった。

 同氏は次に、大会がなぜ陸上機ではなく水上機を使用しているのか説明した。機体の平均速度の向上はより速い離陸・着陸速度が求められることを意味しており、このような速度に到達できる非常に長く、平坦な平面は水上にしかないという。実際、同氏は陸上機のフェアリングのない主脚は水上機の流線型のフロートよりも多く空気抵抗を発生させると考えていた。一般的な水上機よりも陸上機の戦闘機の方が上空でレース機に似たような挙動をすることから、高速飛行隊へ選ばれたパイロットのほとんどは陸上機の操縦経験者であった。しかし、離着水の方法は一風変わっていた。

 離水時、ラダーが効き始める速度に達するまでは機体は左へ流される。離水の最初の段階では水しぶきがひどく、パイロットの前方視界がふさがるほどであった。この状態ではパイロットは機体を風上の右側に向け、顔を下げてゴーグルが濡れないようにし、操縦桿を右後ろいっぱいに引き切り、操縦系統が効き始めるようになるまでただ待つ以外にできることは無かった。離水時の後半ではフロートにかなり大きい荷重がかかり、フロート本体のV型の形状以外に衝撃を吸収する部位は無かった。逆にこれは機体の構造の強度に注目するきっかけとなった。機体は離水できるようになるまで1マイルほどかかり、そこから難なく上昇できるようになるまでもう1マイルほどかかった。機体が離水した直後に突然エンジンが止まった場合、着水するまで3マイルほどかかった。また高度200 ftでエンジン全開にしてから機首を起こせるようになるまで3マイルほどかかった。

 着水する際、パイロットは160 mphでアプローチに入る。スピードは緩やかに減少する。そして110 mph程度で着水する。そっと着水した後機体は非常に急激に減速するため、パイロットは前方に投げられゴーグルを計器盤にぶつけたりしないよう、操縦席の後ろいっぱいまで背中を押さえつけないといけなかった。着水には静かな水面が求められているが、波のない水面は逆に高度感覚を狂わせてしまう。高速飛行では離水だけが主な問題点であった。またフロートは世界速度記録に挑むような機体のスピードについて行くようにつくられていた。このため高波や、白波(例えば15 mphの風)が立つような条件では離水ができなかった。

 高速の機体はプロペラ設計技師にも挑戦を与えた。フロートの抵抗は大きく、高ピッチのプロペラは加速性能に貢献しただけであった。しかし、上空では機体は操縦が容易であった。一度だけテール部のフラッター現象が発生したが、この問題は克服された。発生した事故などはすべて離着水の時に起こったものであった。周回コースの飛行はパイロットにとって特に難しいものではなかった。パイロットは近くの物を見たりしない限り、特に速いスピードを感じることは無かった。パイロットにとって、操縦の容易さが飛行の爽快感を与え、確かにこれは爽快感のあるものであった。330 mphのスピードに達すると、パイロットが手や足で操縦しなくても直線飛行し続けることが可能になった。燃料の消費率は3 mpgであった。

 機体の旋回時では、必ず起こるわけではなかったが、パイロットに悪い影響が起こる可能性があった。急な旋回は目に血を運んでいる動脈から血をひいてしまう。最初の影響は首周りがきつく感じるようになり、次に視界がぼやけはじめ、そして「ブラックアウト」が起こる。だが、機体に十分慣れると首周りがきつく感じる程度で旋回を行えるようになる。後遺症などは発生せず、機体が直線飛行に戻った瞬間にこの影響は解消する。急な旋回は効率が悪かった。最もメリットが大きい旋回は4G(重力の4倍の荷重がかかる)旋回であった。パイロットによって若干の差があったが、多くの場合5Gでブラックアウト現象が見られた。つまり、パイロットにとって最も都合の良い旋回方法は結果的に機体にとっても最適な旋回方法であった。

 この知見は爆撃機の編隊に向かって降下する戦闘機などに応用することができる。戦闘機が爆撃機の下に潜ったのちに急激に引き起こそうとすると、パイロットがブラックアウトを起こすかもしれない。より緩やかな旋回で回ろうとすると、旋回において最もリスクのある瞬間は爆撃機の機銃の射程から十分離れることができる。

 高速飛行隊ではパイロットはそれぞれ12時間しか訓練飛行を行う時間がなかった。パイロットは特に特別な訓練を受けるわけではなかったが、(旋回時にブラックアウトなどの)症状を体験したことを告白するのはもはやパイロットの名誉にかかわる問題であった。(ハイGターンの影響を最小限にするため)弾性ベルトを着用して飛行してみたこともあったが、特に効果は無かった。有効な対策として襟元をゆるめることが良いとされた。高速飛行隊に所属した12名のパイロットのうち、50%以上の割合のパイロットが非喫煙者・禁酒者であった。

 シュナイダートロフィーレースという一種の刺激が無ければ、各界の専門家たちのすべての協力を得られることは無かっただろう。結果として生まれたのは「奇形のマシン(freak machine)」であったが、開発から得られた知見は非常に有用なものであった。かかった費用は莫大なものであったが、得られた知見は値段の割には安かった。あらゆる機体の進歩はコストと、大抵の場合人命が代償となったが、これらのほとんどは極秘裏で起こっていたことであった。この件について同氏は深入りしなかったが、ある簡単な南極探検の費用が、英国がシュナイダートロフィーレースに費やした費用の合計の約2.5倍かかっていたことを指摘した。また同氏は高速飛行への取り組みの恩恵は南極・北極探検と同じぐらい有益なものであると述べた。

 具体的な成果ではないものの中であったのが、人間的な要素の影響であった。高速飛行隊のパイロットにとって、300 mph以下のものは遅く感じられた。かつて、自動車の運転手は60 mphより速いスピードには耐えられないと言われていたこともあった。同氏は、シュナイダートロフィーレース機は商業飛行の高速化への道を示していると考えていた。

1927年シュナイダートロフィーレースの英国高速機に関する技術報告集(Collected Reports in British High Speed Aircraft for the 1927 Schneider Trophy Contest) 序文 非公式翻訳


 

航空研究委員会

Aeronautical Research Committee

 

1927年シュナイダートロフィーレースの英国高速機に関する技術報告集

Collected Reports in British High Speed Aircraft for the 1927 Schneider Trophy Contest

 

January 1931

W. L. Cowley, A. R. C. Sc.による序文

日本語化ver1.0 acha_pi

 

 

A)はじめに

1927年のシュナイダートロフィーレースに向けて行われた幅広い研究に関して、航空研究委員会(Aeronautical Research Committee)は一般的な航空機及び高速機の設計に対して非常に価値のあるものと判断し、英国空軍省(Air Ministry)及び関係企業に対して研究成果の取りまとめを依頼した。すべての関係企業や研究所から同意を得られたため、本誌にまとめるものとする。

              事業において大人数が関係するとき、取り組みの全容を把握するのは不可能ではないが、しばしば難しいことである。口頭で指示されたり、当時の製造手法や設計の背景などに関する詳細な報告書が作成されないまま部品が製作されたりしたことも多々あったはずである。本報告書の作成においてこのようなケースを追跡することにあらゆる努力がなされ、関係者には自身の取り組みに関する報告の作成を依頼した。しかし、他の案件の多忙から、調査が当初期待していたほど十分ではなく、重要な点が見落とされている可能性もある。

              1926年に空軍省は高速機(High-speed craft)に対する研究計画を延長することを決定し、6機の製造(Supermarine Aviation Worksから3機、Gloster Aircraft Companyから3機)を注文した。これら6機はすべて水冷式エンジンが搭載されていたが、のちにColonel Bristowから製作指示されMessrs. Short Bros.によって製作された機体は特製の星型の空冷エンジンを搭載していた。

              残念ながら、様々な原因による準備の遅れから同年の大会に参加することが叶わなかった。しかし、空軍省は高速機の開発をさらに進めたいと希望したため、研究は継続して行われた。1926年大会後、空軍省はR.A.Fの水上機がRoyal Aero Clubによって大会に参戦し、次年度の大会において同会を支援することを許可した。

 

報告の範囲                                                                                       

              関係機関によってさまざまな研究報告がなされ、価値を損なわれないよう、本誌の付録に記載する。分類の都合上、研究報告はそれぞれ以下の見出しで区分する:

  1. 研究
  2. 仕様・設計・及び製造
  3. 点検及び試験
  4. 運用

これらの見出しはまた本報告の範囲を示しており、順番通りにならない場合もあるが、おおよその発展の系譜を示している。

 

B)研究

本章における研究報告は大会の前後で行われたものを収録している。大会前の研究は主に機体の開発に主眼を置いたもので、大会後のものは主に製造後に浮上した特に興味深い点の調査がされている。本章の研究は主にR.A.E及びN.P.Lにおいて実施された風洞試験がもとになっている。前者(R.A.E)では機体の空力特性や冷却に関連する部位の試験が実施され、後者(N.P.L)ではDuplex tunnelにて大型の模型を使用した空力特性試験が実施された。

              N.P.Lで実施された研究の報告は4つのセクションに分けられており、それぞれS.5・GlosterⅣ・Crusaderの模型試験及び実機との比較で構成されている。それぞれの実験では複数の全体模型の実験と、置換部品単独の実験が行われた。また空力干渉や、特筆すべき現象についてなども試験された[1]

              結果からはレース用途における空冷エンジンに対する水冷エンジンの優位性がはっきりと表れたが、空冷エンジンもシリンダのカウリングによって大きく性能が向上することも分かった。いくつかのカウリングの実験の中では特筆すべき結果が得られた:(カウリングが)揚力・抵抗両方に相当干渉しているのが見られ、多くの場合で結果はカウリングと胴体の間の隙間を埋めるなどの小さな変化に敏感であった。

              空冷エンジン機の実験結果の著しい差と異なり、S.5の主要コンポーネント間における最小抵抗の干渉は比較的少ないものであった。全体模型の抵抗は個々のコンポーネントの抵抗の合計よりも5%程度しか大きくはなかった。GlosterⅣも最小抵抗に関しては干渉効果が同様に少なかったが、最大揚力に関しては異常に大きく、この差のいくつかは干渉によるものと考えられている。

              カウリングが装着されたCrusaderの模型の揚力にも興味深い特徴が見られた。通常の失速角度では若干の失速の傾向が見られたが、この角度以上では急激に揚力が上がり、迎角40°でも上がる一方だった。

              抵抗値の実験結果を平板の表面摩擦の数値との比較をすると、ほぼ全てのケースで、模型のレイノルズ数の範囲では少なかった。例外として、Crusaderのエンジンを載せた胴体ではヘルメット付きで測定したところ、表面摩擦よりも大きい抵抗値、すなわち水冷エンジン機の全体模型の抵抗値と同じオーダーのものが得られた。

              風洞実験で得られた結果は実機で得られたものと矛盾のないものと見える。

              R.A.E.(Royal Aircraft Establishment)の風洞ではS.4の模型を使用して2種類の予備実験が行われた。一つはパーツごとの相対的な抵抗に関するデータを取得するもの[2]と、主翼の低翼化の影響を調べるものであった[3]

              実験結果はS.4のものだけが求められていたが、Lamblinラジエーターを表面冷却器に変えたりするなどの、後の機体の改良の効果を示すもので興味深い。ラジエーターが全体の抵抗の1/3近くを占めていたのと、主翼位置を実機で2 ft.程度下げると全体抵抗が5%増すことが結果から得られた。

              R.A.Eでは1927年出場機体の模型を使用して4つの実験が行われた。2つはGlosterⅣのフロートについて[4]であり、1つはGlosterⅣの胴体部について[5]であり、もう1つは翼無しのCrusaderの模型の試験[6]であった。

実験結果はN.P.Lにて得られたものと類似しており、特筆すべきものはなかった。

              GlosterⅢで行われた1927年大会に向けた練習飛行では針路不安定により操縦に問題が生じていた。これの原因を究明し後の設計における問題を無くすため、R.A.Eによる数値解析[7]が行われ、模型によって安定性解析の計算の実機データ取得のための実験[8]が行われた。実施された研究では高速機のラダー操作では可変ギア比が望ましいと提唱されている。可変ギア比の操縦系統は後の高速機でいくつか搭載されており、好ましい結果が得られている。

              製造関連においてはR.A.Eにて興味深い実験が2件行われた。それぞれフロートにおけるリベットの頭の突出に関する実験[9]及びラジエーターによる翼面上のコルゲーションに関する実験[10]であった。

              前者の影響は模型上と実寸大のフロート両方で調べられた。リベット頭を模した小球付きの模型上では(実寸では100ft/sec)抵抗が2.0 lb. 程度増大することが分かり、これは実機では沈頭鋲を使用することで10 mph程度の向上につながる。一方、1つは突出したリベット頭付き、1つはリベットや外板接合面を均した2つの実寸大フロートを使用した風洞実験では表面の均しは100 ft/sec流れにおいて0.7lbの抵抗を削減できることが示された。これらの模型と実寸大試験の実験から数値の不一致はいくつかの原因が関係していると思われる。原因として、模型のリベット頭が完全に実寸大のリベットを再現していなかった点と、サイズの差によって異なる乱流条件下で試験されていた可能性がある点の2点がR.A.Eから提唱されている。

              コルゲーションに関する実験からは、翼の最小抵抗が著しく増大し、失速近辺では揚力の急落につながる可能性が示された。

              R.A.Eではラジエーターの表面からの放熱を測定する風洞実験も行われた。Supermarineの平板の表面冷却器[11]と、Glosterの波状の表面冷却器と、最適な高速機仕様のハニカムラジエータの研究[12]が行われた。放熱ロスはおおよそ乗則に従い、高速飛行時の迎角条件下ではSupermarineとGloster製でそれぞれ翼面積あたり0.9と1.1H.P.だった。上側(翼負圧面側)の方が下側よりもインシデンス角2°において12%、12°で46%程度効率が良かった。

              単位冷却表面積あたりの放熱ロスはSupermarineの方がハニカム式のものよりも若干大きく、Glosterのハニカム式よりも14%小さかったが、Glosterの波状の形状は同一翼面積に対して44%多い表面積を確保できる。Supermarineタイプは一切抵抗が増えなかったが、Glosterタイプはハニカムラジエータの20%程度の抵抗がかかった。だがSupermarineタイプよりも単位翼面積あたり20%程度大きい放熱が可能になっている。

              N.P.L.では抵抗、整流、そして基本特性の解明のため2組のS.5のフロートが水槽で試験され、それぞれの報告がなされている[13]。残念ながら、水槽の曳引車の性能限界から実機では離水速度の半分程度である80ノット相当の速度までしか実験ができなかった。結果から抵抗や基本特性は通常範囲であり、低速度域でノーズが沈む傾向も見られなかったことが分かった。空気抵抗を削減する取り組みにより浮力に余裕がないことから予想されていたが、フロートまわりの流れは乱れており、フロート間距離に限りがあるためこの影響はより強調されて現れていた。船首波が合わさることによって発生した外乱によって、いくつかの条件下で水しぶきや水塊がプロペラ回転面に到達したり、別の条件では著しい量の後流の波が機体後部に当たったりした。

              FelixstoweのMarine Aircraft Experimental Establishmentではプロペラ問題関連の実寸大の実験が行われた。静止スラストの計測や離水条件下でのプロペラの相対的メリットの研究はFairey Reed社で行われ[14]、R.A.E.にてプロペラが設計・製作され、Gloster Ⅲ.Bが実験に使用された。新しい実験手法が用いられ、詳細は参考文献の報告書に記載されている。より高いプロペラ効率の設計の追求に関する報告が4件行われ、Gloster Ⅲ.Aが用いられた[15]

実験は以下の目的で行われた:

  • 将来的な高速水上機のプロペラの設計用のデータ収集
  • チップ周速が高いプロペラの基礎的なデータ収集

実験は高速飛行隊の練習飛行時に行われたが、他の実験や研究の多忙により本計画の規模を削減せざるを得なかった。

 

              エンジン開発に着目した研究ではエンジンの往復及び回転部品の質量削減に伴うエンジン回転数上昇の上限を検討している[16]

              研究から、同一の平均エンジン負荷及び面圧係数の条件だと50%の重量削減は20%(Mitchellタイプを使用すると41%)のエンジン回転数の上昇につながることが分かった。しかし、この回転数の上昇はピストンや気体のスピードを過剰にさせてしまい、効率や信頼性の低下につながると考えられた。さらなる研究からは20%の重量削減は12%の回転数と出力の向上につながる可能性が判明した。

 

C)仕様・設計・及び製造

本章は主に機体やエンジンの設計者や製造者による報告書から成る。これにS.5の仕様[17]も加えられている。

              他の機体やエンジンの仕様は該当するものに合わせるために複数単語で変更があったことを除いて同一であった。例えば、“Crusader”の機体の詳報に記載されているBristol Mercuryエンジンの仕様は:

              エンジン重量(乾燥・ブロワー付き)            -630 lb.

              B.H.P @ 2500 rpm                                             ―800

であったが、それ以外は記載されているものは供試体とほぼ同じであった。

              優勝マシンであるS.5の設計・製作に関する報告[18]には多くの興味深い特徴が挙げられている。

              重量削減に関して、著者はS.5の翼支持形式はS.4の片持ち形式よりもずっと軽い構造重量であると述べており、全体重量の45%を占めていたのに対してわずか36%にまで低下していた。また複葉機形式だと重量削減の効果が今後は見込めず、また抵抗の増大につながると結論付けられた。

              この重量削減は大幅な抵抗削減につながり、翼サイズ・フロートサイズ・胴体長さの削減につながった。この抵抗削減はほとんど各部品の前方投影面積の削減によるものだった。

              同報告のTable Ⅲでは複数種類の冷却器の抵抗に関する興味深い比較がなされており、S.5の形式の効率の優位性が一目でわかる。

              フロートの水上特性に関して、風洞で良い結果を残していた形状の模型が水上試験では比較的性能が劣ったものがあったため、水上試験の際に形状変更が行われた。報告からはどの形状も望ましい結果が得られなかったように書かれているが、最終的には比較的満足のできる妥協点に到達できた。左舷側のよりも大きく作られ、胴体中心からより離れた位置に置かれた右舷側のフロートにすべての燃料を搭載した珍しい形式は、水上特性に悪い影響を及ぼさなかった。

              報告の残りではS.5の、S.4からの改良に関して説明しており、主な改良は:

              (a)胴体に対する主翼位置の低下

              (b)フロート・主翼・胴体間のワイヤー支柱の取り入れ

              (c)断面積を削減した胴体とフロート

              (d)Lamblin製ラジエーターに代わる翼表面冷却器の搭載

              (e)より高出力で、より高いプロペラ効率を実現するギア比のエンジンの搭載

であった。(a)の効果は機体の抵抗を若干増やすことになるが、パイロットの視界改善につながるため許容された。(b)の改良は5 mph程度のスピード向上につながったと考えられている。また(c)の改良は11 mph程度のスピード向上につながり、抵抗削減は4 mph程度の向上につながったと考えられている。(d)や(e)のような重要な特徴は大幅な性能向上につながると考えられ、実際に(d)は24 mph程度、(e)は30 mph程度のスピード向上につながった。報告の最後では10%のエンジン軸出力向上のパーツ重量と抵抗値への影響をまとめた興味深い表が与えられている。それによると合計重量が4.5%近く増加し、100 ft/secにおいて抵抗値が3%程度増加するとのことだ。つまり機体速度は2%程度、または7 mph程度向上することになる。

              S.5の製造方法に関して多くの興味深く・新規性のある特徴が挙げられる。胴体はジュラルミンからできたモノコックに4メンバーのみの縦フレームとそれに対応する横フレームの軽量骨格が加わった形式である。フィンのフレーム構造に関しては鋲打ちに妥当性を持たすため非常に工夫が求められた。

              フロートはジュラルミンと鋼鉄からできた軽量構造で、機体からの支柱の取り付け2か所に重フレームが組み込まれている。燃料搭載の観点から、右舷のフロートが左舷よりも若干長く作られており、中央部分に錫メッキ鋼製の燃料タンクが構成されています。

              主翼には木製の主桁2本のオーソドックスな形式が取り入れられ、尾翼・ラダー・エレベーターは桁と小骨を合板で覆った従来の形式になっている。

              翼表面冷却器は本機体の新しい特徴となっており、これは波板と平板が接する点で両者をはんだ付けで合わせてできている。後者(平板)の外側が翼表面の一部を構成しており、平板と波板との隙間が水の流路になっている。ほぼ円形の水道管が翼の前縁と後縁にはんだ付けされ水の出入り口となっており、冷却機本体は冷却器同士の継ぎ目のハトメを通じて翼にねじ止めされている。

              Gloster Ⅳの報告[19]では本機体がGloster Ⅲからどのように改良されたのか説明されている。正面抵抗が40%程度削減できたと考えられており、推測によると合計で70 mph程度の(最高)速度が向上されたとされている。速度向上につながった4つの要因は以下の通り:

              (1)正面抵抗の削減                                           -37 mph

              (2)エンジン出力の向上                                    -20 mph

              (3)プロペラ効率の改善                                    -9 mph

              (4)着陸速度の向上                                           -4 mph

この結果から速度向上の半分以上は正面抵抗の削減によるものだとわかる。またプロペラ効率の改善による9 mphの向上も、既にGloster Ⅲで高い効率であったのに更に10%程度の効率改善を実現したという観点から特筆すべき進歩である。また着陸速度の10 mphの向上が最高速度に4 mph程度しか貢献しなかったのも興味深い。

              設計及び製造の詳細に関して興味深い報告がされている。翼や尾部の覆いは織物ではなく層状に貼り合わせたトウヒ材を使用しており、これが全体構造の強度に大幅に貢献している。同じ手法は胴体の製造時にも取り入れられており、曲げ応力やねじり応力はすべて翼・胴体・尾翼取り付け部の隔壁で適度に補強された外殻で持つようになっていました。翼表面冷却器やオイルクーラの製造方法も説明されており、多くの興味深い特徴があります。

              CrusaderはW. G. Carter氏によって設計[20]され、RochesterのMessrs. Short Bros.社によって製造されました。Carter氏は報告で、スパークプラグがエンジン出力を制限してしまったと述べており、またこのため本来なら800 B.H.Pの代わりに960 B.H.Pの出力が得られたはずだと記している。

              空冷エンジンの主な利点として水冷エンジンと比べて作りが軽いことが挙げられる。およそ12%の重量削減が得られ、6 mphの最高速向上に匹敵した。しかし胴体の空力抵抗が非常に高く、S.5の機体全体の抵抗と匹敵するほどであった。これはシリンダヘッド周りのカウリングの取り付けや、タウンエンド・リングを装着することによって間違いなく削減することができたはずである。前者の模型実験では290 mphの最高速度が実現可能であったことが示された。

              Carter氏はフロートの水槽試験と風洞試験の両方において、模型と実寸大の実験結果の間に良い一致が得られたと記しています。

              機体の飛行試験では燃料ミクスチャの不安定性によるチョークのトラブルが多く発生した。

              Messrs. Short Bros.による製造報告書[21]によると、主翼には従来通りの製造法方が取り入れられたことがうかがえるが、外板には厚さ1mmの3層マホガニー材に前縁から後部翼桁まで絹で覆い、残りの表面は布で覆われた。動翼・尾翼・フィンも同様に3層に絹の外皮で製造された。胴体は二つの部分で分かれて製造されている点で斬新であった:エンジン部分からコックピット前までの前方セクションは鋼管構造になっており、一方で後方セクションは4本のロンジロンに保持された円形のトウヒ材からなるモノコック構造であった。外板は2層のマホガニー材の斜め板張りに、層の間にニス塗りのリネンを加えられ、表面は絹で覆われた。新しいエンジンカウリングの形状は独特なデザインを構成しており、こちらも報告で説明されている。またMessrs. Short Bros.の水槽で開発されたフロートに関しても注目に値する。このフロートは非常に優れた水上特性を有しており、浮力にも余裕があり、空気抵抗が非常に少なかった。

              Messrs. D. Napier & Son, Ltd製のNapier Lion Series Ⅶ B及びBristol Aeroplane Co., Ltd製のMercuryの、使用された2つのエンジンに関しても報告[22][23]が添付されている。

              Napierエンジンは1925年のシュナイダートロフィーレースに使用されたものの改良版であった。出力の向上に加え、前方投影面積が大幅に削減され補機類がよりコンパクトな配置になった。前方投影面積の影響はSeries Ⅴ、Ⅶ、Ⅶ Bエンジンの前方投影図をそれぞれ示しているFig. 1から3までを比較するとわかる。Series Ⅶ.Bではコンロッド長さを1 in.縮め、ピストンピンからピストン頂の距離及び圧縮比上昇に伴うピストンからシリンダ頂までの距離を短縮することでシリンダブロックの高さを削減している。これに加えてカムシャフトの軸位置を低めたことでエンジン全高を2 in.削減した。最初のエンジンが納入された後、エンジンとプロペラ間に減速機を搭載することが決定された。導入されたのは副軸が一つのみの2段減速機で、副軸が中央のシリンダブロックの間に収まるように配置された。通常のSeries Ⅺエンジンの前方投影面積は5.55 sq. ft.だったのに対し、このエンジンの前方投影面積は4.25 sq. ft.であった。

              エンジン回転数と圧縮比の上昇は点火系、とりわけ点火プラグの負担増大という興味深い発見があった。高圧と高温の燃焼ガスにより、点火プラグやその他ガスと接する部品などの様々なコンポーネントに特に高いレベルの接合・組み立てが求められた。

              燃料の選定についても難しさがあった。ベンゾール含有量が高い燃料はエンジンのアイドリング時に点火プラグに多量のカーボンを付着させてしまうことが分かり、高濃度のテトラエチル鉛を含む添加剤はアイドリング時に亜鉛を放出する傾向があった。最終的に選定された燃料は25%ベンゾール、74.78%ガソリン、0.22%添加剤で妥協された。エンジンの写真や図は報告のFig. 4~10で紹介されている。

              Bristol Mercuryエンジンにはスーパーチャージャが搭載されていたという点で同エンジンの報告は特に興味深い。エンジン本体はある意味ではBristol Jupiterと似ていたが、Mercuryエンジンは全く新しい設計のエンジンであった。大径の星型空冷エンジンは高速専用機に関しては事実上開発の限界を迎えていたとBristol社は考えた。この新型エンジンはJupiterエンジンに似たような形状で設計されたが、あらゆる部品が重量削減・小型化・効率改善の観点から再検討された。Jupiterエンジンと比較してMercuryエンジン設計の際に変更が行われた点は以下の通りであった:

  • ストロークを5 in.から6.5 in.に変更
  • 新しいシリンダ構造
  • クランクシャフトのノーズを5 in.延長
  • ピストンピンと副コンロッドピンのサイズ増し
  • 鋳造ピストンからY合金の落とし鍛造ピストンに変更
  • Bristol SpiralディストリビューターとTriplexキャブレターをギア駆動の過給機に変更
  • 全径を53 in.から6 in.に削減

              スーパーチャージャの必要駆動力を削減し、最大マニホールド圧を850 lb. / sq. in.以下に設定した後、2500 rpmにおいて気筒あたり90 bhpの出力を目標に一気筒のみのユニットで試験が行われた。開発から最大出力94 bhp、最大圧力840 lb. / sq. in.が達成された。圧縮比を5.2:1から7.2:1までの間で変更したときの効果も比較され、6.25:1が最も望ましい結果となった。 スパークプラグ選定に関しては難航したが、K.L.G. “C.B.”及び “B.Z.372”が最も適したものとして見つかった。

              実機のエンジン実験ではマグネシウムの落とし鍛造クランクケースのスタッドボルトのゆるみや表面の摩耗などの問題が見られた。このため、クランクケースはアルミニウムの落とし鍛造クランクケースに変更せざるを得なくなり、エンジン重量増加につながった。490 bhpを記録した受入テストを経た後、エンジンをリビルドし、6.25 lb.ブースト・1L当たり11 ccのテトラエチル鉛の添加剤が加われた80/20航空燃料に105 mmチョークを使用した条件で再び出力試験が行われた。設計計画をはるかに超えた出力が得られることが分かった。

 

D)点検及び試験

Royal Aircraft Establishmentから試験に関するいくつかの報告が得られた。

              機体の試験は新たな問題が発生したときのみ行った。したがって、新設計の全金属製のS.5モノコックは耐力試験の実施が望ましかった。試験は二つ行われた:最初の試験はエンジンによって胴体前部に加わる荷重と水平尾翼によって下方へ加わる荷重を模擬しており、二つ目の試験はラダーと垂直尾翼によって胴体後部に加わる横方向の荷重を模擬していた[24]。両試験においても最大荷重でのたわみ量は過剰でなく、どのパーツも弾性限界を迎えた形跡は確認されなかった。また試験後の残留たわみも小さかった。

              Crusaderに関しては、マホガニー材とカバノキ材でできたモノコックの供試体2つの圧縮強度を求めることが必要であった[25]。偏心載荷した圧縮強度試験では前者よりも後者の破壊荷重が低かった。両方のケースとも、高応力がかかっている2本のロンジロンのうち1本で圧縮破壊が起こったことで破壊が発生したとみられた。またカバノキ材でできた供試体の方はマホガニー材のものよりも載荷時に不安定であったのがはっきりと観察された。これはカバノキ材の供試体はより小さい縦通材だったためと考えられた。

              Gloster Ⅳでは、フロートの静安定性試験[26]が行われた。

この試験によるとGloster Ⅳのフロートの縦方向の安定性は良好であったが、横方向の安定性は小さかった。しかし、これはフロート間距離を伸ばすことで解決できる可能性がある。

 

E)運用

本章では機体の飛行や動作に直接関係する開発を収録している。

              最初の報告はS.5の高迎角時の飛行に関するものである[27]。着水速度とその際のインシデンス角で計測が行われた結果、最大インシデンス角度は約12.6°であり、R.A.F. 30翼の高揚力を十分に活かしきれていないことが判明した。最終的にはR.A.F.30翼と着水速度は変わらないまま最小抗力がより小さいM.2翼の方が高速機により適していると結論付けられた。

              二つ目の報告は高速飛行中の“コーナリング”を議論している[28]。最適なコーナリング方法とコーナーを旋回する時間を各ケースで計算する幅広い解析が行われた。よりタイトなコーナリングの方が緩い旋回よりも良いことが分かったが、同時に主翼にかかる力が機体重量の5倍以上かかる旋回に関しては利点が懐疑的であった。検討された最適な周回平均スピードは(シュナイダートロフィーレースにおいては)最高速度から3%低い速度だった。すなわち、284 mph(優勝マシンの記録)の平均速度で周回可能な機体は最高速度292 mph程度以上が望ましいということだ。報告書の結果はR. & M. 1299と矛盾しない。

              No. F/A/51Aで報告されている速度試験[29]では減速機無しエンジンにFairey ReedプロペラF.R.183を搭載したS.5 No. N.219を使用していた。

              プロペラも含めてこれと同じ機体は大会本番にWorsley空軍大尉に操縦され平均速度273 mphを記録しており、コーナリングで3.5%のロスが発生していた計算になる。

              減速機付きのS.5は最高速度が295 mphあり、平均284 mphで周回していた。すなわち、コーナリングでのロスは同じく3.5%ということになる。

              つまり、得られた実機データは先の理論計算(R. & M. 1281) の結果を裏付けるものとみられる。

              付録の最後の報告は“高速飛行小隊の試験飛行の取り組み、及び大会そのものについて記録している[30]

報告でも認めているが、最初の部分は得られたデータが詳細な分析を行うのに十分な精度ではなかったという点でコメントの余地は少ない。最も興味深かった内容はオイルの冷却を助けるために機体胴体に大型のルーバー窓を設ける必要があった点だが、速度計の読み(最高速度)への影響は僅かなものであった。他にも特筆すべき点は優勝気体の最高速度は大会仕様のプロペラを使用して295 mphであった点であり、これはコーナリングの計算での結論に合致している。

              報告の最後ではSupermarine Aviation Worksの監督下でカルショットにて行われた、S.5の試験飛行の結果の表が与えられている(Tab.7)。このデータはCoombes氏が報告していた内容を補完する手助けとなるだろう。

              報告の第二部ではベネチアで開催された実際の大会、13.86 km(8.62 mi)、11.4 km(7.08 mi.)、14.74 km(15.35 mi)の長さの三角周回コースについて説明している。

              3組の記録員の間には計測時間に齟齬が見られ、どんな周回でも15秒以上、すなわち3%程度の誤差があった。これは最高速度300 mphの機体では1周当たり10 mph程度のずれを意味するが、周回飛行全体ではこの誤差は0.36%、実質1 mph程度まで下がった。一周目の計測誤差は非常に大きく、記録によってはDi Benardi少佐のスピードがWebster空軍少尉よりも低かったり、別の記録では高かったりした。これらのずれは距離31 mi.の周回コースで起こったことを踏まえると、短いコースにおける速度計測は誤差の影響を受けやすいことがわかる。

              興味深いことに、高度が変わらない一定バンク角[31]のイギリスチームの旋回方法が、旋回時に速度を犠牲に高度を確保し、直線でダイブするイタリアチームの旋回方法よりも優れていた。

              旋回におけるS.5の速度計の記録は299 mphから285 mph、4.7%の低下を示した。ターンの終わりのスピードが周回の平均速度よりも若干速かったというのは驚きであるが、位置誤差などによる補正が必要であったり、計器の著しい応答遅れが存在したりする可能性がある。しかし、報告書における他の記録にも位置誤差などの言及がなかった。

              各報告書の結論を総合的に見てみると、まとまった設計(Clean design)の重要性を示しており、リベット頭や鉄板の重ね継ぎなどの突出物は高速機における大幅な抵抗値の増加につながることがわかる。“高速飛行隊”の取り組みからは水冷エンジンの単葉機と複葉機の性能差は僅かであるが、複葉機の方はパイロットの視界が比較的悪く、その点で分が悪いことが示されている。プロペラの減速機付きと直結駆動の相対的な利点に関しては、取得できた限られたデータからは前者に明確な優位性があるとみられる。これは直結駆動プロペラの高い先端速度による空気の圧縮性の影響によるものだと思われる。

 

 

[1] R.&M. 1296-1299- Tests on models of high speed seaplanes for the Schneider Trophy Contest of 1927.- W. L. Cowley, A. R. C. Sc., D.I.C., and R. Warden, Ph.D., M.Eng.

[2] Royal Aircraft Establishment Report No. B.A.550- Test of model of Supermarine S.4 seaplane

[3] Royal Aircraft Establishment Report No. B.A.550- Model tests on Supermarine S.4 seaplane. Effect of lowering ring. – R.G. Harris, D.Sc., and L.E. Caygill, B.Sc.

[4] Royal Aircraft Establishment Report No. B.A.601. Wind Tunnel test of a Gloster Ⅳ float – A.S. Hartshorn, B.Sc., and R.A.E Report No.B.A.610- Wind tunnel test of a modified Gloster Ⅳ float. -H. Davies, B.A.

[5] R.A.E. Report No. B.A. 651- Tests on Gloster Ⅳ.B fuselage- H. Davies, B.A.

[6] R.A.E. Report No. B.A. 604- Wind tunnel test on model of “Crusader”-F.B. Bradfield, Math. And Nat. Sci. Triposes, and H. Davies, B.A.

[7] R.A.E. Report No. B.A.684- The lateral stability of the Gloster Ⅲ.B seaplane with controls fixed and with directional control- E.T. Jones, M.Eng.

[8] R.A.E. Report No. B.A.668-Test of a model of a Gloster High-speed seaplane. - A.S. Hartshorn, B.Sc.

[9] R.A.E. Report No. B.A.784-Wind tunnel test of the increased drag of a 1/4 scale float on adding rivets. -F.B. Bradfield, Math. and Nat. Sci. Triposes and F.W.G. Greener, B.Sc., and R.A.E. Report No. B.A.814-Drag tests on full scale float of S.5- F.B. Bradfield Math. and Nat. Sci. Triposes and R. A. Fairthorne

[10] R.A.E. Report No. B.A.578-The effect on lift and drag of corrugating the surface of an aerofoil. -F.B. Bradfield, Math. and Nat. Sci. Triposes

[11] R.A.E. ref. 70/BA/5/R.55. Advance results of wind tunnel tests on Supermarine wing radiator.

[12] R. & M. 1311. Wind tunnel tests on Gloster and Supermarine wing radiators. -R.G. Harris, M.A., D.Sc., F.R.S.E., L. E. Caygill, B.Sc., A.M.I.M.E., and R.A. Fairthorne

[13] Reports on Tank experiments with model of seaplane float. Test with the S.5 duralumin float.

[14] M.A.E.E. Report No. F/A/56. – Static thrust tests of two airscrews on Gloster Ⅲ.B No.195

[15] A.E.E. Reports No. F/A/27, F/A/27A, F/A/27B, F/A/27C. Tests of experimental airscrews on “Gloster” Ⅲ.A

[16] R.A.E. Report No. E.3035.- Investigation into the increase in permissible engine speed consequent upon a reduction in the weight of the reciprocating and rotating masses. – Captain Andrew Swan.

[17] Specification No.6/26 Ref. No. 675379/26/R.D.I.F. Supermarine S.5.

[18] Design of the S.5. – R.J. Mitchell, A. F. R. Ae. S

[19] Notes on design and construction of Gloster Ⅳ. – H.E. Preston, M. I. Ae. E.

[20] Notes and comments on the design of the “Crusader”-W. G. Carter

[21] “Crusader” aircraft. Constructional report. – C.P. Lipscomb

[22] Napier Lion series Ⅶ.B engine for 1927 Schneider Trophy- G. S. Wilkinson

[23] A memorandum on the design and development of the Bristol Mercury 1927 Schneider Trophy racing engine- A. H. R. Fedden

[24] R.A.E Report M.T. 5292. Supermarine S.5 fuselage. Proof load tests.

[25] R.A.E. Report M.T. 4700. Test of sections of fuselage of Short “Crusader”

[26] M.A.E.E. Felixstowe Report No. F/A/48. Static stability tests on Gloster Ⅳ floats.

[27] R.A.E. Report B.A. 793. Measurements of incidence and speed of the S.5 seaplane on alighting. -E. T. Jones, M. Eng.

[28] R & M. 1281.- “Cornering” at high speeds. – W. G. Jennings, B.Sc.

[29] Felixstowe report No. F/A/51a. Speed course test of Supermarine S.5.

[30] M.A.E.E. Felixstowe report No. F/A/68. Notes on the Schneider Cup Race of 1927.- L. P. Coombes, B.Sc., A.C.G.I.

[31] Appendix E.4に述べられているバンク角50°というのは旋回点からかなり離れた地点から目視で測った角度である。

 

 

次回、「Flight 1932年4月1月号より、Orlebar空軍中佐による高速飛行に関する発表」

航空自衛隊 一般幹部候補生 飛行要員採用試験 受験記録②(3次編)

本記事はStudent Formula Advent Calendar 2020に参加しております。

adventar.org

UTFFのB4(2)のあちゃぴぃです。学生フォーミュラのアドカレですが、学生フォーミュラのガの字もかすってない内容で、前回の続きを書きます。航空自衛隊 一般幹部候補生 飛行要員採用試験 受験記録 3次試験編です。前回はこちら

acha-pi.hatenablog.com

 

 

 

念のためもう一度注意書きとか概要とか

航空自衛隊 一般幹部候補生 飛行要員 採用試験を受験しました。本受験談は、以降の受験者にとって過度に有利にならないようにしつつも、ある程度どのような流れで試験が進むのか、少しでもイメージを持っていただきたいため作成いたしました。あくまで2020年の受験の体験談としてお読みいただき、来年度以降の受験を本格的に検討している方がいれば、お近くの地方協力本部/事務所などに連絡し広報官から最新の受験情報を取得することをお勧めします。

 

3次試験概要、事前準備

2次試験に受かれば3次試験です。

思い出しながら書いた1,2次と違って3次は5日間の自衛隊の基地滞在時、何をやっていたか箇条書きでメモを残していたのでそれをもとに書いています。めんどくさくなったところはそのまま書いてあります。そのうちちゃんと文章になるかも。

 

3次試験は約1週間(私の時は5日)、自衛隊の基地で寝泊まりしながら飛行適性試験、医療適性検査、面接を行います。2次試験の段階で3次試験の希望受験地(S基地、H基地)、希望受験期間(前期・後期)を提出しており、合格したら3次の受験基地・期間が指定されて来ます。

 

ここまでくると受験者もそれぞれの地本での二次試験を突破してきたメンバーが揃うため全国区になりますが、同時に試験期間は朝から晩まで行動を共にするのでどの試験よりも受験者同士仲良くなれます。イメージするなら宇宙飛行士採用試験のアレ。

 

今年はコロナ禍でアレなところ、「県外から(というか全国から)受験生が集まり」「出入りする人が限られている平常時の自衛隊の基地に入り」「一週間近く一緒に行動し」「受験だけでなく飯を食ったり寝泊まりしたりする」という、健康担当の方からしたら一番感染が不安なイベントだと思います。そのため2次試験同様、様々なコロナ対策を実施していました。

まず3次試験一週間前から個人用健康観察シートを記録しました。体温や体調を毎日2回記録し、会食や密集地(カラオケ)に行ったりした場合は人数や接触者を記入しました。

 

3次試験

Day1

2次試験と同じく、指定された集合日に基地の最寄りの駅に集合してバスで基地入りします。ここからはこの受験の監督(?)を担当する自衛官が二名、つきます。採点をするのではなく、宿舎から食堂・ブリーフィングルームへの移動の引率や連絡事項の伝令役とか、また暇なときは自衛隊の(試験に関係ない)お話とか気軽に聞ける方たちでした。歳も4,5歳上だったので最終日までにはかなり仲良くなれました。

 

引率自衛官に案内されて宿舎へ。宿舎は二人一部屋、と言うのでしょうか…入口入って共有スペースにトイレとシャワー・冷蔵庫・TV(ブラウン管。回線無いからつかない)があり、仕切りでそれぞれの部屋に分かれるタイプです。

完全に仕切られてはなく、上下50cmほどは空いているので本来だったら相部屋(?)の受験同期に仕切り上からゲロ袋(後述)を投げつけることもできます。

が、今回はコロナ対策でこの間のスペースも透明なビニールフイルムが貼られており、一応空間的にはプライベートになれるというロックな仕様でした。聞いたら隊員の方たちが受験のために全部貼ってくれたそうです。圧倒的感謝

 

というわけで入った自分の部屋(?)は

貴重品ロッカー、ベッド、中学校にありそうな引き出し棚、机

があり、

飛行服・飛行靴・飛行手袋・しおり・名札・ゲロ袋・ドッグタグ

が支給されます。受験期間は飛行服・飛行靴をずっと着用して行動することになります。念願のケイ・ナガセコスプレだぜ ぐえっへっへ

 

ついてすぐ滞在費が徴収されました。最初の案内には約7,000円とありましたが、それよりも安かったです。

 

ひと段落したところで上階の講義室/視聴覚室的な場所へ。そこで面接準備資料を記入しました。

自己紹介シートには小中高、部活、自衛隊受験歴、家族構成、志望度(民間・他の公務員試験)、趣味など。

操縦者適正うんたらシート(名前ド忘れ)はSPIの性格診断みたいな問題を〇×△で回答。

あとSCTと言って、書き出しの単語から文章を完成させる性格診断(?)もありました。

「将来は、」

「家族とは、」

「怒られたら、」

 

みたいな書き出しがあるので、

 

「将来は、ぜってー火影になる!」

「家族とは、この里…すべての者たちじゃ!(3代目火影)」

「怒られたら、🥺」

 

など書きます。

 

終わったら宿舎前で集合写真。自分の名前が大きく印刷された紙を渡され、囚人みたいに前に持って撮影。おおっ、○○年度宇宙飛行士採用試験最終受験者一同みたいに受験終わったらくれるのか!と思ったら単に面接のときに顔と名前を一致させるための写真でした。写真欲しかった...

 

夕食は一般の隊員の方々とは違う時間帯で食べます。例年だったらここで受験生同士仲良く話すのでしょうが、コロナ対策。全員同じ方角を向いて、間隔をあけて20分間黙々と食べます。

18時にメシ終わり。以降は待機。コロナ対策で売店にも行けず、めちゃくちゃ暇でした。基地内の大浴場も、我々アウトサイダーが見知らぬ菌でも持ってちゃいかんので、宿舎の部屋のシャワー風呂を使いました。ツイッター三鷹寮民があげてた写真みたいなシャワー!トイレ!浴槽!以上!みたいなのでした。しゃーない

 

Day2

7時に起床、すぐ廊下に並んで体温・健康チェック報告

朝めしも昨夜同様、みんなで食堂の真東の壁のポスターに面白いことでも書いてないかとか見ながら黙々と食べます。

この日は飛行適性検査の準備と教育の日でした。

8時から昼飯挟んで14時まで、座学。使用するT-7の説明、飛行適性検査で行うマニューバの説明、機体の乗り降りの説明、脱出の仕方、救命装備品の説明など。

 

終わり次第、救命装備品の試着・搭乗方法確認。明日から使う救命胴衣、落下傘、ヘルメットのサイズ合わせをしてもらい、格納庫に置いてあるT-7を使用して搭乗方法確認、シート高さ合わせなど行います。

 

格納庫奥にちらりと見えるテキサンとT-3に興奮。しかも下にオイルパン敷いてて更に興奮。

 

既に渡されている教科書(適性試験用の操縦教本)と、宿舎内にコックピットのモックアップがあるので、夜メシ後の自由時間はひたすら勉強とイメトレでした。

 

Day3からいよいよ飛行適性検査、医療適性検査、面接が始まります。

 

Day3~4

ここからDay5までは飛行適性検査(3回)、医療適性検査、面接がそれぞれのスケジュールで行われます。

ある受験生は朝に一回、午後に一回飛び、そのあと面接、次の日に3回目の飛行、からの医療適性検査。またある受験生は朝に面接があったり…と、4,5人単位で行動が分かれます。半日ほど何もなくひたすら待機の受験生もいれば、運よく次から次へ進む人もいます。

 

いずれにしても待機室みたいな場所があるので、そこで待っていれば引率の自衛官が連れて行ってくれるようになっています。待ち時間は待機部屋内なら自由ですので、適性試験の勉強や面接準備をしたり、受験同期と雑談とかしたりします。全部終わってほかの受験生待ちになるとかなり暇なので、本などを持っていくのをおすすめします(スマホも基本的にNGなので)

 

 

【医療適性検査】

2次試験でも医療適性検査をやっていますが、今度はちょっと大がかり?な心電図、脳波検査です。

心電図は安静時のものと、3分間ぐらい二段階段を上り下りする簡単な運動をした後のものの2パターン計測。

あと角膜撮影? 

 

脳波検査は頭にプローブみたいなものをペタペタ15,20個付けてもらい、薄暗い部屋のベッドで仰向けに寝て、目を閉じて20分間測定します。気分はニュータイプ!と言いたいところですが、飛行適性検査とかの合間とか昼飯直後にやったりすると強烈な睡魔との戦いになります。寝そうになると脳波でバレるらしく、起こされます。最悪取り直しになります。ムフフな妄想しても脳波でバレるのだろうか…

          _,,..,,,,_
         / ,' 3  `ヽーっ
         l   ⊃ ⌒_つ
          `'ー---‐'''''"

最後の10分ぐらいは目の前のライトがパパパッ…パパパッと光ったり、1秒単位で大きく息を吸ったり吐いたりするように指示され、過呼吸状態をつくっててんかん発作のチェック?を行ったりして、安眠が妨害されます

 

 

【面接】

2名の面接官との面接です。こちらは2次試験の就活チックな面接というよりはパイロット・幹部としての性格を見ている雰囲気でした。面接官も比較的若めの方がいたり、内容も最初の日に書いたプロフィールシートの深堀や、性格や家族構成を聞かれました。SCTで書いていた内容のコメントやツッコミもされます。(怒られたら、🥺って書いてあるけどメンタル弱いタイプ?m9(^Д^)とか)

 

あとは2次試験から少し時間が経っているので、この間に何か民間や他の公務員試験で進展はありましたかー?とかも聞かれました。他に篠原重工レイバー事業部で内定を持っています、アナハイムエレクトロニクスのMS事業部で内定を持っています、王立宇宙軍も受験しています、等々伝えておきます。

 

本題(?)の飛行適性検査

(ここから受験に直接有利になるような情報を載せないようにめちゃくちゃ気を付けて書いたつもりです。あくまで体験談としてお読みください。また「や、この記載はマズイ」等あれば教えてください。)

 

初等練習機T-7に3回乗り、4種類のマニューバを実際に行います。

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レッドホークじゃない方(画像は防衛省hpから)

内容は具体的に言いませんが、操縦教本とかで言う最初の科目4つあたりでしょうか。死ぬほどザックリ言うなら、自動車の教習所にいきなり行って車に乗せられ、4種の科目ちょっとやってみて(クランク、S字、etc.)、教官が採点してくれる、みたいな感じです。Pとしての †正しい資質(THE RIGHT STUFF)† があるのか見ているのでしょうか。知らんけど

 

時間になったらブリーフィングルーム(と言っても机が4,5ある空き教室みたいな場所)へ行き待機。検査を担当してくれる教官が来て、今日の体調・飛行内容・時間の確認などを行います。コロナ対策で机の真ん中にはビニールフイルムがあったのと扇風機がガンガン効いていたので微妙に聞き取りづらい、、、

 

救命装備品室(?)に行き、救命胴衣、と前日にサイズ合わせしてくれた落下傘を着ます。パラは搭乗直前まではハーネスを完全に付けず、背負うだけ。ランプで歩いていて万が一パラが開いてプロペラに巻き込まれても身体からすっぽ抜けてくれるからだそうです。飛行服の足のポケットにはゲロ袋を入れ、ヘルメットと飛行手袋を持ちいざ教官とランプへ。

 

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節子、それ教官やない、RIO

 

靴裏にFODの原因になりうる小石とかが挟まってないかチェックして、大丈夫そうだったらテクテク機体へ。整備員(APG)さんと教官に助けられながら落下傘のハーネスをつけ、後席に搭乗。マスクはここで外して飛行服の足ポケットにしまいました。

座ってキャノピーを閉めて頂いたら、あとはタヌキの置物みたいにおとなしく待ち、その間に整備員さんが準備したり、教官がPreflight Walkaroundをしたりします。

 

www.amazon.co.jp

 

教官も搭乗し、バッテリーをつけてもらったらインカムで通話するようになります。ぼそぼそとChecklistを口に出しながら始動準備しているのを大人しく聞きます。準備が終わればエンジン始動。

某国で飛行ジジィらが172とかポーニーとかで始動するときとかはでっかい声で “Clear Prop!”とか言っていましたが、こちらはタービン機。

キュイイイイイイイイン…⤴

と回転数をidleまで上げていき、教官と機体横のAPGさんらが指で回転数を合図し合います。かっけぇ

 

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節子、それT-7やない

色々と準備が終わったらタキシング、離陸です。ふとインカムが時々聞こえなくなる時があるな…教官は何か口動かしてるのに…と思ったら後席のUHFの音量が0(かオフ?)になっていました。試験に必要ない場所の計器類は触るナと言われているので、あぁそっちは聞かせてくれないんだなーって思いながら訓練空域(検定試験場所)までしばし空の旅を楽しみます。

あっち系の人はラダーペダルの「フ」ロゴを見つけておお、ちゃんと富士重(現SUBARU)製だ~などと感動しておきます。航空宇宙工学科の方だと同じラダーペダルをシステム製図室の某機体でも見れます。

 

 

訓練空域に到着したら検定開始です。4種類のマニューバはそれぞれ教示・練習・検定の順で進みます。

教示で教官がお手本としてやって下さり、ここからユーハブ渡してもらいます。練習は一回だけ(ここは採点されません)、一言二言アドバイスもらいます。最後に検定で採点されます。ただし4個目のマニューバは二回目のフライト以降でやります。あと二回目のフライトは練習・検定のみ、三回目は検定のみです。

 

検定内容を言ってしまうとアレなので、例としてグライダーの直線失速(Straight ahead stall)で代用します。(ただの例で、これは実際にはやりません。)こんな感じに教本にやること、見る場所・口に出して言う確認事項、手順などが書かれているので、上空でこれをうまく再現します。

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某国訓練時のやつ

グライダー経験者にとって普段のフライトとの違いはスロットル操作があるのと、アドパワー・リデュースパワーに伴うラダートリムの操作があります。

陸単経験者(172とか)にとってはスロットルが左手でレバー式になります。

あとアドバースヨーを殺すためのラダー操作とかはやらないのと、後席は姿勢指示計と方位計の航空計器がカバーされて見えないようになっています。

 

「地平線と機体の間隔で速度を作れ、体で覚えろ!」

「計器はOne glance, one check、残像で覚えとけ!」

「45°バンクは計器の四隅のネジの対角線!」

と罵倒されながらグライダーで訓練してたのがここで活きるとは。

 

一個一個の検定の間に体調(めまい、吐き気等)のチェックをしてくれます。受験同期ではT-7を嘔吐彗星号にしてしまった者も。

 

無事検定が終われば帰ります。あとは後席の受験者にとっては遊覧飛行()と、教官と会話ができる数少ないチャンスです。

「何かやってた?」

『大学1,2年でグライダーやってました。免許取って以来忙しくてやっていないですが、、(あとこの試験前にジョイスティックでエスコン7を100時間ぐらいやり込んでました)

「へぇ、どおりで。俺はこれ乗る前はイーグル乗ってたわ」いやかてへんわ

「イーグル乗ってからだとおっせぇんだわ、この子」そりゃそうや

とかなんだかんだしゃべりながら降ります。

 

着陸もフレア1、フレア2...ストール警告音(?)が聞こえた瞬間、キュッと接地、というめちゃくちゃ綺麗なランディングでした。

タキシング、停止したら機体を降りて、救命装備品返却。終了です。

 

フライト終了ごとに医官の方から健康チェック(めまい無いですかー、気持ち悪くないですかー)をしてもらいます。2回目のフライト後には尿検査も。

 

このような流れの飛行適性検査フライトを残り2回行います。それぞれ違う教官が担当してくれます。

 

慣れて来ると緊張感もなくなってしまうのか、受験生の中に2回目の搭乗前のパラ装着時にDリングをひっかけてランプでパラシュートを開いてしまった者も。APGさんや教官方から あぁあいつやりやがった…と、幼稚園で一人だけお漏らしした雰囲気になりながら回収、別のパラシュートで出直したりしていました。↓

https://dic.nicovideo.jp/a/%E7%A7%81%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82

 

 

3回目の終わりに記念撮影ができます。T-7の前で飛行服・救命品などフル装備でカッコよく。

 

最後のブリーフィングで写真撮りたいっスと申し出ると、じゃぁスマホを飛行服の足ポケットに電源を切って入れておいてと言われます。

かつてこのルールが厳格化される前に、機内から飛行中の映像を撮影してYouTubeにアップしてしまった人がおり、大問題になったそうです。教官も「あの動画、普通に検索したら出てきちゃうんだよなぁ~」と。コックピットが映っているとかというより、訓練空域(空からの景色)と後席からの見え方がわかってしまうのが以降の受験生に直接有利になる内容を漏らしているのがアウトだそうで。

 

ちなみにT-7のコックピット自体は航空祭とかで公開されているのでしょう、Google画像検索で探せば出てきます。シミュレーターとかで遊びたいなら、計器の雰囲気(アナログ、DDI/HSI/AMPCD無し)で一番近いのはピラタスPC-7でしょうか。

www.pilatus-aircraft.com

飛行適性検査は次の年とかに同じUEX(幹部候補生試験)を受けなおしても省略されます。次の年などに受験して、1次試験2次試験と進んでも3次では医適と面接だけになるそうです。なので泣いても笑ってもこれが最初で最後です。

いい点を残しておきたいから予め練習したいのであれば、スイスで920€からピラタスPC-7を乗れるらしいのでいかがでしょうか(?????)。

www.goaviator.com

 

 

おそらく2次試験の身体検査で操縦練習許可証の申請書が見えたので、知らぬ間に練許(かそれの自衛隊版の何か)が錬成されているのでしょう。それか体験搭乗扱いなのでしょうか...どういう扱いで飛んでるのかがよくわからない

 

とまぁなんだかんだで3回、飛びます。

 

Day5,解散

Day5は最後の数名が医療適性検査と面接をしますが、残りの受験生は宿舎で待機。シーツを畳んだり、荷造りしたり。

 

ごはんの時間に一緒に座ってしゃべることはできませんでしたが、待機中の部屋とかはマスクをしたまま雑談することができたのでかなり仲良くなれました。同期とイロイロお話していると、皆さん他にも某空飛ぶ公務員とか自社養成とかも受けてることがわかりました。

 

最終日は集合写真を撮ったり連絡先交換したり。あとは引率自衛官2と受験生18人、宿舎前自販機で全員分ジュース奢りを賭けた大・男気じゃんけん大会をしたり。めちゃくちゃ盛り上がりました。みんな容赦なくレッドブルとモンスターをポチっ_____、自分もご馳走になりました。

 

通知

合格すると合格通知書と意向調査書が届きます。

格通知書には 「航空自衛隊一般幹部候補生採用候補者名簿に記載」された旨が書いてあります。

幹部合格じゃないです、幹部になるための幹部候補生、になれる候補者になりました、という意味です。幹部になるにはここから先、幹部候補生学校へ入校し様々な訓練や研修を行います。飛行要員はそこからパイロット養成コースへと進みます。

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また、採用に関する意向調査回答票では

□採用に応じる(幹部候補生学校卒業後3等空尉に任官)

□応じません(辞退)

応じない場合は 他の国家公務員に就職、地方公務員(市町村職員、警察官、消防官、etc)、民間企業に就職など、応じない理由を記入します。

 

期日までに意向調査に回答します。

 

最後に

いかがでしたか?(定型文)

この選考プロセスを経て、幹部自衛官の卵・(航空)自衛隊パイロットの卵が集められます。ただ、この先も厳しい訓練が待ち構えていて、途中で脱落する場合もあります。

 

1次試験と2次試験の間に地方協力本部が主催してくれた、1次試験合格者向け2次試験説明会では、途中で脱落し現在は一般幹部として勤務されている方がお話してくださいました。脱落ですぐ首が飛ぶのではなく、通常の幹部自衛官としての道も残っていることを初めて知りました。

(ちなみにこの説明会では他にも過去問を教えてくれる2次の小論文対策講座や、面接官経験者による模擬面接などもあるので、参加を強くお勧めします)

 

受験全体を通して、実際に自衛官と接することができたり、平常時の自衛隊基地に行くことができたり、「入隊後した場合の生活」を少しだけイメージすることができました。

特に3次の基地でお会いした教官方では「R/W横ででっかいバズーカ砲カメラで写真撮ってくれる素敵なおじさま方がツイッターに写真アップするので毎回ポーズしてエゴサしてる」面白い方がいたり、お話していて楽しかったです。

あと

「みんな何乗りたいの?」「えぇ!〇-2?なんで!?あんなんエンジン一個で不安じゃないの?」「イー〇ルなんかエンジン二個も付いてるしハネ一個なくなっても飛べるぞ!」とか話題になって、本邦にもMud Hen乗り vs Viper(Zero)乗りのdis構図があるんだ(笑)と知れました。

 

 

今回の受験でお世話になった広報官、1・2・3次試験で問題・面接・機体など様々な準備をしてくださった自衛隊の皆様ありがとうございました。

 

 おわり。

 

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あぁ、

 

陸単取りたくなった…金貯めよ…

 

 

 

FSAE Advent Calendar、明日ははまTさんのRally Japan 2021 現地観戦の楽しみ方です!

航空自衛隊 一般幹部候補生 飛行要員採用試験 受験記録①(1次~2次編)

この記事は,東京大学航空宇宙工学科/専攻 Advent Calendar 2020に参加しています。

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航空B4(2)のあちゃぴぃです。卒業設計の単位認定を保留し、休学生としてユウイギな一年を送る予定でしたがCOVID-19の影響で海外インターンが中止、学生フォーミュラ大会も中止になってしまい、新年度から慌てて就活を始めました。官民両方の就職活動をしましたが、中でも特殊な受験であった航空自衛隊の一般幹部候補生 飛行要員採用試験の体験談をご紹介したいと思います。

 

  

はじめに注意書きとか概要とか

本受験談は、以降の受験者・受験検討者にとって過度に有利にならないようにしつつも、ある程度どのような流れで試験が進むのか、少しでもイメージを持っていただきたいため作成いたしました。あくまで2020年の受験の体験談としてお読みいただき、来年度以降の受験を本格的に検討している方がいれば、お近くの地方協力本部/事務所などに連絡し広報官から最新の受験情報を取得することをお勧めします。また特に文章で試験内容漏らすなとは言われなかった(基地内撮影禁止、適性検査のスマホ撮影禁止は言われた)ので公開しましたが、マズイ記載内容/削除すべき内容等あればご連絡ください。

 

この試験は自衛隊において将来的に部隊等を率いる幹部自衛官になる、幹部候補生を採用する試験になります。
一般という名称は大学の文系・理工系から進む通常の幹部候補生コースという意味で、他にも医科幹部候補生・薬科幹部候補生があります。また、海上自衛隊航空自衛隊では飛行要員という、自衛隊の航空機のパイロットになる受験区分があります。(自衛隊パイロットへの道は他にも高校卒業から入隊する航空学生というのもあります。)

 

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10秒で要約

一次試験はペーパーテスト。

二次は面接・身体検査・小論文。

三次試験は飛行適性試験・面接・医療適性検査。

 

 

出願

私の受験理由等は省略します、皆さんも各々のモチベーションで受験してください。

ホームページから資料を請求して数時間以内に近くの地方協力事務所の広報官から連絡があり、その日のうちに出願書類やパンフレットなどを自宅まで届けに来てもらいました。めちゃくちゃ早かったです。

広報官は(この受験では)民間の就活で言うリクルーターのような立場で、以降は定期的に連絡を取り合うことになります。電話で気軽に質問できたり、時には過去問を印刷してわざわざ自宅まで届けに来てもらったりしました。

 

1次試験

Day1

ペーパーテストです。問題集などが書店やア〇ゾンに売っているのでそれで対策します。某学科の某教員がよく演習とかでめちゃくちゃ煽る公務員試験と同じようなやつ。(これも一応公務員試験か?)

私はこれの2019年版を買ったのと、(問題だけですが)広報官から2014以前の問題を印刷したものを貰い、本番演習しました。

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会場はそれぞれの都道府県の地方協力本部のもと(?)で受験します。私の県では県庁付近のナントカ会館の大きい会議室が会場でした。

普通の検定試験や模試・入試と唯一違うのが試験監督の方々が全員自衛隊(陸海空それぞれ)の制服姿だったことぐらいです。

入室前に消毒・検温・体調チェックがあったり、会場案内してくださった自衛官が皆フェイスシールドとマスクを着用していたり、所謂コロナ対策をしていました。また長テーブルの右端に一人、その後ろのテーブルには左端に一人、といった形で交互に座ったため、目の前や真後ろに他の受験生がいなくて比較的安心して受験できました。

 

科目は一般教養(その1、その2)と専門(択一、記述)です。

一般教養は200分で、その1は40問選択式で、問題番号1~30のうちから20問選択、31~40は必答という形式になっています。

日本史、世界史、倫理政治経済が20問。数学が3問程度、理科が7問程度、英語の単発回答(並び替え、語句埋め)が8問程度、英語の文章要約(1パラグラフ程度)が2問程度になっています。

理系科目と英語は大丈夫でしたが、恥ずかしながら地歴公民は大学受験以来完全ノータッチでこのためにもう一回大学受験勉強時代の教材を引っ張り出して勉強しました。塾講師バイトやっている人は強いかも。

 

その2は国語と数学です。国語は10問で、評論(1ページ程度)要約や空欄補充・並び替えが7問程度、古文漢文の要約が3問です。数学はSPIみたいな問題(組み合わせ、統計、簡単な図形問題etc.)が30問です。

すべてセンター試験レベルからSPIレベルの問題で5択です。マークシートで回答します。

 

専門は択一式試験と記述式試験があります。

択一は【人文科学、社会科学、理・工学】の3科目から1つ選び回答。ただし、技術幹部候補生志望者は必ず理工を選択しなければなりません。36問程度の5択問題で、20問選択し回答します。

内容は数学(微積線形、複素数)、材料力学、熱力学、電磁気学、無機・有機化学、生物などです。

 

記述は【心理、教育、英語、行政、法律、経済、国際関係、社会、数学、物理、化学、情報工学、電気、電子、機械(造船含む)、土木、建築、航空工学、海洋・航海】の19科目から1つ選択して回答します。同じくこれも技術幹部候補生志望者は数学、物理、化学、情報工学、電気、電子、機械(造船含む)、土木、建築、航空工学、海洋・航海の11科目の中から回答しないといけないです。

どれも大問2つ分で、文系科目なら「~について説明せよ」、英語は和訳と英訳、理工系は更に小問に分けて大学の演習問題~院試問題っぽい雰囲気のが出ます。特に機械・土木・建築は大問1.5問分ぐらいが4力学でカバーできて、最後だけ土木学科・建築学科の人しか知らなさそう…みたいな構成なので航空民でも75%ぐらいは書けるはず。

 

航空工学は1つ目の大問で計算問題、2つ目で単発記述問題があります。

計算問題は航空の授業で言う航空機力学第一第二、ジェットエンジン/ガスタービン第一第二の期末問題と演習問題みたいな感じでした。「水平定常巡航状態のジェット機の力のつり合い式、エンジンの推力計算、そこから二つ合わせて比航続距離の記述」「グライダーの力のつり合い、実機と水槽実験模型とのスケーリング」とかが過去問や今年の問題でありました。

単発記述問題は文字通り、「衝撃波失速(Shock Stall)って?」「翼型を決めるパラメータは?」「ウィングレットの役割は?」「主翼後縁のフラップ下げたら風圧中心は?」みたいなのが4つあり、2つ回答します。

 

時間になり、回答用紙が回収されたら解散です。土曜日でほぼ一日かかりました。

 

12/5追記

この時の試験問題が公開されていました。出版されている過去問と違って実際の問題用紙のスキャンなのと、解答用紙も公開されているのでよりリアルな試験対策を行いたい方はこちらも見てみてください。

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Day2

 

飛行要員希望者だけ次の日にもう一度試験会場に行き、適性検査を受けます。適性検査は:

「最初の基準図の飛行姿勢になっている機体がその状態からある角度(45°,90°,180°etc.)ピッチ/ロール/ヨーした後の姿勢はどのように見えるか」

「姿勢指示器など航空計器が二つあり(ここチョットうろ覚えです)、計器からどのような飛行姿勢にいるのか選択」

「真上から見た機体が8方向のうちどこかを向いており、8方位が一つ分かっている(右上を向いていて、機体真後ろが南東、など)。選択肢にも同じような方角/方位の絵があり、基準のと同じ方角を向いているのはどれ」

 

などの問題セットを15分以内に3,40問回答する、みたいな空間把握能力(?)を見ている問題と

 

「飛行機の操縦席(明らかにT-7の前席)から数秒おきに撮影した3枚の写真があり、どんな操縦入力をするとこの写真のように変化するのか回答(ラダー・エルロン・エレベーター)」

の空間把握×操縦の基本のキを見る問題セットがありました。

飛行姿勢の問題の図の機体がなぜかどれもブルーインパルスの(よりによって)3号機だったのが印象的でした(笑)

 

白黒の問題用紙の中でもパッと見て飛行姿勢(どっちが腹でどっちが背か等々)が分かりやすいように塗り分けられている練習機(というかBI)の機体塗装ってちゃんと考えられているんだな~って初めて感心しました。風景写真の方は恐ろしく白黒印刷クオリティでいや見づらっ!ってツッコみながら解答しました。

 

私のようにズル賢い人だと「これ消しゴムに飛行機の絵描いてクルクル回してみればイメージしなくてもできるのでは」なんて考えますがちゃんと受験の注意事項で禁止されていました。 

エース〇ンバットやMFS, MCFS, DCSの三人称視点とかで飛んでいたりするとピンと来るかもしれません。私は試験前に試験勉強ほったらかしてエスコン7をやり込んでいて助かりました(?)

 

こちらは半日で終わりました。

 

 

 

2次試験

一次に合格すれば二次試験です。(あたりまえ体操

 

地方協力本部ごとの合格者だけで、航空自衛隊の基地で一日がかりで受験します。基地に近い駅のロータリーに集合して、そのままバスで基地内へ。

到着してすぐ、採血されました。ボケっとしていたら爽やかな女性医官に「針が入っていくとこ見ないタイプ?(笑) ほらほら、入っていくよ~(笑)」って煽られました。朝から充実したサービス

                           

終わったら全員でまた違う建物にぞろぞろと移動し、試験会場に入ります。講堂みたいな場所でしたが一次ほど人数がいなかったため、各テーブルに一人ずつ、しかもかなり間隔をあけて座ります。試験問題や登録用紙(?) の配布などは1次とほぼ同じでしたが配布などの準備中に国旗掲揚・課業開始のラッパが鳴り、突然作業をされていた監督官たちが皆立ち止まって基地内の国旗の方に向いたときは自衛隊の試験だなぁと特に感じました。

 

小論文は試験時間一時間ちょいで、812字の原稿用紙で回答します。問題は2つあるものから一つ選択します。だいたいは

 

「【とあるキーワード】について概要を説明し、あなたの思うところを述べよ。」

 

というお決まりの問題文になっています。

 過去に出題されたので言うと

 

【我が国周辺の安全保障環境、中国の軍事力拡大、動的防衛力、欧州の金融危機、日本のエネルギー問題、東日本大震災からの復興、多次元統合防衛力、入国管理法の改正、ハラスメント、ドローン、自動運転、パリ協定、サイバー攻撃

 

などがありました。(うろ覚え

お題は防衛・政治・経済関係の社会問題・時事ネタがメインです。防衛関連は防衛白書を読むといいでしょう。時事ネタは一般的に昨年度注目された国内外の社会問題などが出るらしいです。

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小論文は優良可不可(?)と東大生お馴染みの評価で採点されるらしいです。残念ながら優上は無いけど、優三割規定もないから安心して優を目指せるね!f:id:acha_pi:20201204193956p:plain

 

ちなみにどんなにトンデモ理論やブッ飛び公約でも論理・一貫性・テーマ理解・適切な表現があれば評価はつくらしいので誰か試してみてください。(国家安泰には大仏建立,etc)

 

12/5追記

こちらも問題・回答用紙が公開されていました。リンクでご紹介しておきます。

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一時間ほどで小論文は終わり、残りの時間は身体検査と面接です。ここからは会場に待機しつつ、呼ばれれば身体検査や面接に行くという流れになります。待っている間に読む本などがあるといいでしょう。

 

記憶の範囲でやったのは視力・肺活量・心電図・血圧・聴力・尿検査、レントゲン、問診、あとは自衛隊防大の受験とかでやる関節の体操(?)的なやつをやります。内容的にはおそらく3次試験の飛行検査を行うために必要な操縦練習許可証(の自衛隊版的な何か?)を発行するための航空身体検査に自衛官採用の身体チェックかなという感じでした。

 

参考:航空身体検査マニュアルhttps://www.aeromedical.or.jp/manual/pdf/r010617_323.pdf

 

関節の体操的なのは受験者全員パンイチになり、前の医官の指示に従って腕を延ばしたり手足を回したりしてちゃんと関節が動くかを見ていました。受験者一人一人に医官の方がついて、じろじろ見てくれます。前かがみになっている間に自分の検査担当だった医官の方が背骨を触って何か確認をしていたり、目を閉じたまま片足立ちで30秒維持できるか見られたりもしました。

 

問診ではチェックリストに基づいて既往歴の有無などをぜーんぶ確認します。

マジで全部です。中学校の頃に体育祭の騎馬戦で落下したときにできた肩のアザとかも「これはいつどこで怪我されましたが?」とか聞いてきました。

 

12/5追記

不合格疾患、身体検査等の基準についてが自衛隊募集ホームページに記載されています。こちらもリンクでご紹介しておきます。

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ちなみに私はここで初めて(?)歯のレントゲンを撮ってもらい、親知らずがあることを初めて教えていただきました。実質無料の精密身体検査f:id:acha_pi:20201204193956p:plain

 

午後からは面接も開始します。会場は受験会場のすぐ近くの部屋で、直前になると担当の自衛官に連れて行かれます。会場は研修室というか会議室というか所謂ああいう系のめちゃくちゃ広い部屋(語彙力)で、部屋の向こう側には飛沫防止フイルムに守られた制服の面接官3名、部屋のこっち側、スーパーソーシャルディスタンスを経て椅子がポツンとあり自分が座ります。

 

なんだかんだで民間の就活がすべてオンラインだったので初めての対面面接でした。

 

面接は3,40分ぐらいで:

  • 志望理由(なぜ幹部候補生/飛行要員を志願したか)
  • 大学の専攻・研究の説明
  • 部活やサークル・アルバイトの経験など
  • 自衛隊らしい質問では「両親は(合格したら自衛隊に入ることになることについて)どう思っているか」「集団生活は大丈夫か」「体力は自信あるか」
  • 受験生の知識を確認する質問では「航空自衛隊のおおまかな基地・配備部隊・配備機体など知っているか」
  • 幹部候補生試験らしいところでは「今まで部活やサークルなどでリーダーの経験はあるか」「自分が上級生/幹部でいたときに部活でどんなピンチがあり、どのように克服したか」
  • 飛行要員らしい質問では「(戦闘機とか輸送機とかで)何乗りたい?」

など聞かれました。卒業設計の話にもなり、「機体やエンジンを実際に0から検討・設計し、実寸で製図します!!!!!!!」ってドヤ顔で言ったら結構食いついてきてくれて

『どんなエンジン書いたの!?戦闘機?』

「いや、学科の方針で軍用機はNGになっていて...」

って説明したら(´·ω·`)ショボーン って顔されました。

 

全員の身体検査と面接が終わるまでひたすら待機です。17,8時ぐらいまでかかりました。

 

 

以上、1次試験・2次試験までの体験談でした。

 

3次試験は航空自衛隊の基地で一週間近く滞在し、実際に初等練習機T-7に乗り込んで操縦適性検査を行ったり、医療適性検査、面接を行いますがそちらはStudent Formula Advent Calendar 12/8日分の記事として公開します(これから書きますf:id:acha_pi:20201204193956p:plain)

 

追記:書きました!こちら↓

 

acha-pi.hatenablog.com


adventar.org

ネットの海を漁ると数少ない3次試験の体験談を書いている方がいますので一応こちらでも紹介しておきます。

mbuchi.hateblo.jp

 

明日はford_aero先輩がポエムを書いてくれるらしいです。よろしくお願いいたします!